園芸栽培ナビ > 園芸の肥料 > 油粕に発生する白いカビと肥料効果

油粕肥料に発生する白いカビ

 有機肥料である油粕肥料を使用すると白いカビが発生することがあります。油粕肥料の内、粉末油粕肥料は未発酵の有機肥料であるため、白いカビによる菌に働きにより分解されることで肥料効果を発揮します。

油粕肥料の効果とカビ

油かす肥料成分含有量(目安)

ナタネ油かす
 窒素(N) リン酸(P)  カリ(K) 
5.1% 2.5% 1.3% 
マグネシウム ホウ素 マンガン
0.87% 0.0058% 0.0066% 
亜鉛
0.0067%  0.0009%   
ダイズ油かす
 窒素(N) リン酸(P)  カリ(K) 
7.0% 1.5% 2.2% 
マグネシウム ホウ素 マンガン
0.36% 0.0090% 0.0043% 
亜鉛
0.0050%  0.0015%   

油かす肥料の種類

・原料の違い
ナタネ油かす:ナタネから油を搾った後のかす。市場に流通する大半の油かす。
ダイズ油かす:ナタネから油を搾った後のかす。流通全体のごく一部。ナタネ油かすに対して肥効が現れるの早い。

・形状の違い
粉末油かす肥料:広く園芸に使用する粉末状。
固形油かす肥料:主に鉢植え等に使用する固形状。

・状態の違い
・未発酵肥料
 使用後に畑等で発酵することで肥効が現れます。多量の土がある環境では問題とならないが、発酵の際にカビやガスが発生することで害が発生する恐れがあるため、プランター(鉢植え)の使用に向かない。粉末油かす肥料は基本的に未発酵肥料。

・発酵済み肥料
 プランター(鉢植え)等でも害の恐れがなく使用できます。一部の固形油かす肥料で市販されています。

・骨粉入り油粕肥料
 油かすに骨粉を加えることで、油かす単体で含有率が少ないリン酸を補った肥料。

油かす肥料に発生する白いカビ

 粉末の油粕肥料、及び未発酵の固形油粕肥料を使用して降雨・散水により適度水分が含むと菌の働きにより白いカビが発生と発酵に伴うガスが発生します。
 見た目の問題を除くと、園芸などの路地栽培等では基本的に実害はありませんが、栽培面積小さいプランターなどでは稀に害があることがあり適しません。

・白いカビの影響
 畑等の路地栽培においては、多量の土があることから表面の白いカビによる作物への害は基本的にありません。
 しかし、梅雨時に挿し木などを行っている場合、挿し木苗は脆弱なため、カビが発生した土壌は適しません。

・ガスの影響
 カビの発生による発酵過程では、油かす肥料に限らず発酵時のガスにおより植物に害を与えることがあります。屋外の路地栽培おいては、油かす肥料を異常なほど多量使用しない限り、発生するガスが拡散すること害はほぼ現れません。


・カビが気になるとき
 カビ自体に実害はなくてもハエなどの不快虫が集まる。油かす独特の発酵に伴う匂いの発生など、視覚や臭いにより不快と感じることがあります。
 これを防ぐには、地中埋める。又は、管理機・トラクター等で土壌と油粕をよく混合することで目立たなくなります。
 使用する時は塊とならないよう、満遍なく散布するとカビが目立ちにくくなります。

肥料としての利用の注意

 油かす肥料を使用すると、土壌に多量の有機物質を供給することで微生物の活動が活性化します。また、油かす肥料の含有成分として3大栄養素の内、カリウムの含有成分が少ない肥料です。このため、必要に応じて他の肥料でカリウムを補う必要があります。
 カリウムは多くの有機肥料で含有比率が少なく、有機肥料としては草木灰(草等を燃やした時の灰)等に多く含まれます。(草木灰については、ページ下部を参照。)
 草木灰の他、化成肥料等による補給が効果的です。化成肥料では、オール8、オール14等にチッソ・リン酸等を同じ比率で含まれています。
 カリウム専用の肥料としては、塩化カリウム肥料と硫酸カリウム肥料で補給することができます。野菜等の園芸栽培では、同じカリウム肥料では硫酸カリウム肥料を使用します。
 塩化カリウムは、硫酸カリウムよりカリウム分が多いですが作物の繊維分を増やすためジャガイモの等が筋張ったものとなります。作物によって影響がないものもありますが、主に水田等で使用します。

微量成分ミネラルの働き

 油かす使用は、主に窒素分やリン酸補給を目的に使用しますが、油かす自体の有機分と含まれる微量成分の補給により様々な効果を得ることが出来ます。
・有機分
 土壌の微生物等が活発化することで地力の底上げされます。
・マンガン
 タンパク質を造る酵素の構成要素として葉緑素などの合成に関わります。
・ホウ素
 新芽、根の生育を促します。
・亜鉛
 成長ホルモンに働き、葉の発育を促します。
・マグネシウム
 苦土として葉緑素の重要な構成成分となります。
・銅
 葉緑素を造ります。
 草木灰については、姉妹サイト果樹栽培ナビ内で紹介しています。詳しくは、「果樹栽培ナビ>果樹栽培の肥料>草木灰の効果と使い方」へ(別ページで開きます。)

 果樹栽培でにおいて使用する油かす肥料は、果樹の甘味をつける重要な有機肥料として取り上げています。詳しくは、「果樹栽培ナビ>果樹の栽培方法(梨の育て方) > 農業の土づくり > 果樹を甘くする有機肥料の使用」へ(別ページで開きます。)

関連情報
園芸の肥料
 ・牛ふん・鶏ふんのについては、牛ふん、鶏ふん堆肥の使い方
  ・油かす肥料については、油粕に発生する白いカビと肥料効果

ページトップに戻る